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32.氷雪の池 春の目覚め

32.氷雪の池 春の目覚め

夕暮れ時、陰影を深めるミクリガ池と雪原を歩く登山者=室堂

◆立山・黒部アルペンルートが全線開通し、にぎわいを取り戻した立山一帯。春の雰囲気が漂い始めた自然と、そこに集う人たちを追った。◆

 雪庇(せっぴ)からこぼれ落ちた雪が幾筋もの線を描く。立山・室堂のミクリガ池の周りに、俵状の雪が無数に転がっていた。春の日差しと雨が、池を覆っていた雪と氷を解かし、水面が少し見えるようになった。

 四月中旬になっても室堂一帯には、約七メートルの積雪が残っていた。気温は四度だが、照りつける直射日光で上着の下が少し汗ばんだ。

 「今の時期はたいてい、ふぶくんだけど、ことしは雨になるんですよ」と山小屋関係者。例年に比べ暖かいと口をそろえる。

 夕暮れが迫り、池の周囲に積もった雪の陰影が濃くなっていった。この雪がすべて消えるのは六月下旬。雲上の春の時間はゆっくりと進む。

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