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9.映画「九転十起の男」

9.映画「九転十起の男」

公開初日の舞台あいさつで撮影を振り返る(左から)市川監督、石井知事、堂故氷見市長、姫野貞夫氷見商工会議所会頭=8日、富山市飯野の富山シアター大都会

 氷見市と川崎市の交流進む

 氷見市出身の実業家、浅野総一郎(一八四八―一九三〇年)の生涯を描いた映画「九転十起の男3 グッドバイ」が、二十一日まで富山市飯野の富山シアター大都会で上映されている。三部作の完結編で、富山と神奈川県の知事、市長が出演したことでも話題を呼んだ。各地で浅野の功績があらためて認識され、氷見、川崎両市の交流も生まれた。映画の効果は当初の予想以上の広がりを見せている。

 「九転十起の男」は、昨年公開された第一部(青春編)と今年秋公開の第二部(激動編)、上映中の完結編からなるシリーズ映画。川崎市の映画制作会社「さざ波」が企画し、浅野が創設した浅野学園(横浜市)の卒業生でもある市川徹さんが監督を務め、雨晴海岸や県庁、氷見市役所、富山大などでロケを行った。

 当初は第一部のみを作る予定で予算を組んでいたが、「続きを見たい」という声があり、浅野の一代を描く作品に拡大。挫折を乗り越えて浅野セメントや東洋汽船、浅野学園を設立し、京浜工業地帯の形成に尽くした不屈の精神を、友人や家族との人間ドラマを交えて描いた。

 昨年一月の発表から約二年に及ぶ制作は、浅野の出身地・氷見市と、活躍の舞台となった川崎市の新たな交流につながった。今年一月、氷見、川崎両商工会議所と氷見市藪田地区の支援会が、映画の成功を祈って「越中氷見寒ブリ懇親会」を川崎市で開催。十一月には「川崎市民祭り」に初めて氷見商工会議所が招かれ、氷見をPRした。

 完結編では、「県境を越えて浅野への理解を深めてほしい」と、市川監督が浅野ゆかりの自治体の知事、市長に出演を呼び掛けた。石井知事と堂故氷見市長、松沢成文神奈川県知事、阿部孝夫川崎市長は配役を得て登場。横浜、福島県いわき、福岡県北九州の各市長は作品の中で現職としてインタビューに答えている。

 八日に富山シアター大都会で行われた舞台あいさつでは、石井知事が松沢知事と映画をめぐって会話がはずんだエピソードを紹介した。市川監督は「映画が友好関係を生んだことは大きな成果」と話す。

 「九転―」シリーズは今回の作品で終了するが、映画がきっかけで芽生えた交流を尻すぼみに終わらせてはいけないだろう。

(神田由香文化部記者)

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