立山に氷体、国内最大 砂防博物館が確認、氷河の可能性も
2009年11月20日 10:00
国内最大級の「氷体」が確認された御前沢カールの雪渓。手前の黒っぽい所は「氷体」が露出している部分
立山・雄山(3003メートル)の東側斜面にある御前沢(ごぜんざわ)カールの雪渓内に、国内最大級の氷の塊「氷体」があることが、立山カルデラ砂防博物館の調査で分かった。大きさは長さ約700メートル、幅が最大で約200メートル、厚さ約30メートル。重力が働いて斜面を流動する「氷河」の可能性がある。氷河は、極東アジアではロシア・カムチャツカ半島以北にしかなく、確認されれば、日本では初めての発見となる。
御前沢カールには雪渓内に氷体があることが推定されていたが、急斜面で近づきにくいため、詳しい調査は進んでいなかった。
調査に当たったのは、立山カルデラ砂防博物館の飯田肇学芸課長(54)と福井幸太郎学芸員(36)。福井学芸員は9月中旬、山岳ガイドの協力を得て御前沢カールに入り調査。電波で氷の大きさを測定する機器を使って雪渓内を調べたところ、雪の下に巨大な氷体があることを確認した。
長年降り積もった雪氷が圧縮されてできる氷体は、御前沢カールの千メートル北側に位置する内蔵助(くらのすけ)カールの雪渓内でも確認されている。御前沢カールの氷体は、これまで国内最大規模とされた内蔵助カールのものより2〜3倍大きいという。飯田学芸課長は「寒い気候で降雪が多い立山の厳しい自然によって生み出された」とみる。
氷河は、山の斜面などにあり、重力が加わることで下方に移動し変形する氷体を指す。氷体が動くには、一定の大きさや重量、位置する地形といった条件が必要になる。氷体は、国内では富山や北海道、長野県などの高山約10カ所で見つかっているが、大きさなどは分かっていないケースが多く、氷河であることも確認されていない。
御前沢カールの氷体は約30メートルの厚みがあり、表面に約20度の傾斜があることから、理論上は年間1メートルほど下方に動く可能性がある。
今後数年間かけて、氷体上に設置したポイント約20カ所をGPS(衛星利用測位システム)で継続調査し、動いているかどうかを確認する。流動していることが裏付けられれば、国内に現存する唯一の氷河となる。
極東アジアでは、ロシア・カムチャツカ半島以北で氷河が確認されている。福井学芸員は「日本国内で確認されると、極東アジアの氷河の位置の南限が下がることになる。しっかりと継続調査していきたい」としている。(社会部・楠浩介)
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