ページ内を移動するリンクです。

本文ここから

悠閑春秋

2009年12月28日

 −もっと高く−

 医療費3兆2千億、早死に2兆、休業2千億、火災やゴミ処理で2千億など、「喫煙による経済損失は年間約5兆6千億円」と平成8年に厚生労働省研究班がはじき出している。

 対する収益は、税1兆9千億、たばこ会社1600億、労働者給料1800億、周辺産業利益5千億など合わせて約2兆8千億円。

 喫煙による損失は収益の2倍で、損失の大半は非喫煙者も負担を強いられるから、「十分に税を払っている」という喫煙者の弁解は苦しい。前記資料をもとに、1箱660円なら損益は釣り合うという試算も出されている。

 いま検討されている1本5円の値上げでは1箱400円にしかならず、損益の均衡はおろか、喫煙率が激増する若年層への抑制策にもならない。税収という目先の損得のみで論じるのでなく、収益の倍にのぼる損失を減らす、つまりマイナスのマイナスはプラスと考え、消費抑制という長期的観点から大幅な値上げを望みたい。

 喫煙者の最後の砦(とりで)は「葉タバコ農家の保護」だ。だが、先の資料が示す農家利益は高々100億。転作は酷という主張もあるが、数兆円の損害を防ぐために100億全額を企業と行政が償っても利益ははるかに大きい。先細りを見越したたばこ会社は、多角経営で既に他に活路を求めつつあるのだ。

 富山病院副院長・小児科 嶋 大二郎

一覧

ページの先頭へ移動