「仮に高岡市と合併しても特例債などの財源は、ほとんど高岡駅前や新幹線駅周辺の整備に持っていかれるんじゃないか」。8月末、保健衛生・環境関係の各団体を対象に開いた氷見市の合併懇談会で、参加者の1人が不信感をあらわにした。
氷見市幹部を長く務めた鞍本光雄・前市自治振興委員連合会長(71)=伊勢大町=は35年余り前の市農林課時代、高岡市の小矢部川から延びていた送水管の修復で、高岡市側の協力がなかなか得られなかった苦い思い出がある。ほかにも行政広域圏計画の策定や道路整備など、高岡市のリーダーシップの不足を感じたことは多い。鞍本さんは「周辺市町の生活が向上すれば高岡も良くなるという広域圏全体のことを考えた行政運営を進めてほしい」と話す。
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| 高岡とは避けたい |
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県境の氷見市は市南部のほとんどを高岡市と接しており、合併対象の検討は高岡市を抜きにできない。だが、氷見市民には合併の必要性は感じても、本音の部分で高岡市とは避けたいという雰囲気が漂い、合併論議そのものの低調さにも影響を与えている。
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3日の会見で「今は市民の声をとりまとめている段階。10月に懇談会を終え、一定の考えを整理してから市議会に諮りたい」と述べた堂故氷見市長。市民の雰囲気を感じ取り、依然慎重な態度を崩していない。高岡市が高岡、射水地区両広域圏に呼び掛けて開いた助役による検討懇談会には「誤解を招きたくない」とし、参加を見合わせた。
だが合併せずに、今後も市単独でやっていけるのか。
県内9市で最も面積が広く、谷筋で分断された地形。実際に人が住む里山が多く、道路整備などの行政需要は大きい。65歳以上の老年人口は約25パーセントで、県内平均を約4ポイントも上回るなど、高齢化のペースは速い。足腰の強い地場産業が育っておらず、市税収入の大きな伸びは見込めない。
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| 相当の覚悟必要 |
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合併しないという仮定で市が出した財政試算では、歳入総額から公債費や人件費など義務的・経常的な歳出を差し引いた「投資的経費充当可能額」は今後大幅に減少。14年度並みに回復するのは、残高が340億円(12年度普通会計)に膨らんだ市債の償還がピークを過ぎる21年ごろになる(グラフ)。住民生活に密着した各分野で積極的な政策が取りにくくなることが明らかだ。市職員削減はもとより、学校や保育所の統合・改廃や民営化、道路補修、公園管理など各種サービスの民間委託など、行政の大幅なスリム化は避けて通れない。
「合併するにしてもしないにしても、相当の覚悟が必要。腹を据えて決断すれば、どんな困難も乗り越えられるはず」と堂故市長。仮に合併しない選択をすれば、市には、従来レベルの行政サービスは提供できないという現実を市民に十分に説明する責任がある一方、市民の側にも意識の大きな変革が求められる。 |