中学を持たないことで、村は効率的な行財政を進められた。
校舎には億単位の建設費がかかり、改修や改築の際にも莫大な支出を迫られる。事務職員の給料などに充てる中学校費は、下村より人口の少ない井口村で生徒1人当たり45万円、利賀村は50万円かかっている。
村は、生徒を「委託生」として預けている富山市と小杉町に、1人当たり5万7000円を支払っている。両市町が負担する中学校費のほぼ半分で、芝田壮臣村教育長は「義務ではないが、お礼の気持ち」と説明する。さらに生徒が遠距離通学していることに配慮し、冬期間は約200万円の予算を組んでスクールバスを運行している。それでも生徒1人当たりの支出は、約10万円で収まる。
村は農地が広がり、宅地造成や企業誘致がままならなかった。中学の運営を断念したのも、自主財源の乏しさゆえ。竹内昭英村長は「村を経営する上ではやむを得ない」と語る。そんな選択は奏功し、上下水道や道路などインフラ整備は県内トップクラス。下水道工事は、他町に比べ住民負担額が格段に安い。基礎的自治体の役割を放棄するのと引き替えに、手にしたものは大きかった。
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