町は人口1万人未満の自治体としては県内で唯一、単独で消防体制を維持してきた。全国の町村の中でも、8番目に小さい。本部は温泉街の玄関口にあり、菅田慶一郎署長は「宇奈月は、どこより消防が必要とされてきた」と説明する。
昭和21年の大火以降、町はたびたび火災に見舞われた。39年には旅館施設など12棟が焼失。火事の知らせを受けた消防団員が、自宅から分団屯所に駆け付ける体制だったため現場到着が遅れた。「行き止まりの町だから、ほかから消防車を呼ぶと遠い。観光客も多いと6千人近く訪れる。消防の充実が欠かせなかった」。温泉街で喫茶店を営む元団員の辻幸治さん(70)は言う。
翌40年に、常駐の消防職員を置くことが決まった。菅田署長ら4人が採用され、役場職員の仕事だった予防査察や危険物検査などを担うようになった。9年後には庁舎も完成。署にはポンプ車2台と救急車2台、救助工作車1台をそろえ、人口数万の自治体に匹敵する24人が、常時7人態勢で待機している。
ただし、こうした消防体制は町の財政を確実に圧迫している。人件費は年々高騰。消防費は歳出の5パーセントを超え、他の自治体に比べ格段に高い。
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