戦後の地方自治制度のスタートに伴い、国は市町村に次々と新しい事務を担わせた。中学校の運営に始まり、国民健康保険や介護保険…。改正された精神保健福祉法が平成14年に施行され、県が担当していた精神保健事務の一部も市町村が手掛けることになった。
隔離・収容が中心だった国の精神医療政策は昭和62年以降、社会復帰支援にシフトした。病院から地域社会へ−。精神障害者を支えるのは、住民に最も身近な市町村が担当するのが自然の流れだった。県から通院医療費の公費負担や精神障害者保健福祉手帳の申請窓口が移され、障害者へのヘルパー派遣なども手掛けることになった。
「これから、仕事は大変になるなって思います」。福野町保健センターの保健師、井幡秋美さん(50)は率直に語る。
井幡さんは昨年秋、精神障害者の家族を持つ住民から相談を受けた。住民は「仕事に出ている日中、家で1人きりにさせられない」と打ち明け、ホームヘルプサービスを申し出た。井幡さんはサービスに必要な手帳の申請を勧めた上で、週2回ずつ話し相手を務めるヘルパーの派遣を始めた。
町ではこれが最初の仕事だった。「まだ慣れないから、県厚生センターの世話になっているんです」と井幡さん。サービス内容を決めるには、精神科医や本人を交え話し合う必要がある。利用者の心と向き合い、保健師が調整役となって支援方法を考えるが、知識も経験も十分とは言えない。これまでの相談は3件。「これから本格的に手掛けるには、職員にケースワーカーや精神保健福祉士がいると心強い」
だが、人口約1万5000人規模では利用者は限られ、町の財政力で専門職員を雇うのも難しい。
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