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正念場の地方自治 No.9 連載目次 前へ 次へ

第1部 暮らしと境界 職員の力量 2003.01.11
 庄川町総務課にある「情報公開受付窓口」は、平成13年4月の町情報公開条例の制定に伴って開設された。施行から2年。町民以外にも門戸を広げているが、これまでに受理した請求は1件だけ。“開店休業”の状態が続いている。

 「予想通りの結果になった」。条例策定に携わった町企画調整課の間馬秀夫主幹(47)は苦笑する。町は以前から、住民への情報提供に努めてきた。11年には町政モニター制度を創設し、住民の声にも耳を傾けるようにしてきた。請求の少なさは覚悟していた。ただ、一つだけ気掛かりなことがあった。「本当に住民のニーズをとらえて策定したと言えるだろうか…」。制定にこぎ着けるまで、あまり公にはできない事情があった。

条例づくり 業者に委託
規模拡大で能力向上?
 町は11年、条例の策定に向けて始動した。「役場は今、何をやっているのか」。そんな住民の疑問に答えたり、予算などをオープンにすることは、行政の透明性を増し、信頼を高める。住民の行政参加を促す効果も期待できるほか、地方分権一括法の施行が迫っていたことから、職員の間で「自分たちの手で条例を作ろう」という機運が盛り上がった。

 40代までの中堅職員10人が集まり、委員会を結成。独自に施行規則などを組み立てた。だが、作業はそこでストップした。他の条例や法律との整合性をどうとるのか、見当が付かない。「自力でやり遂げるのは不可能」と判断し、詰めの作業を民間業者に“丸投げ”した。費用は約60万円だった。

 大学で、法律を学んだ職員は数多い。間馬主幹は「能力を伸ばす環境が整っていない」と言う。戸籍の管理や市町村税の徴収など、市町村の事務内容は、人口約7,300人の庄川町でも、政令指定都市と大差ない。ただ、職員数の少ない町村ほど、1人の担当事務は増える。行政職員数92人。県内18町で3番目に少なく、日常業務に追われているのが実情だ。議会からも“丸投げ”に反対する声は出なかった。

§   §   §

 国は合併推進の理由の一つに、庄川町のような小規模町村の職員能力向上を挙げる。合併で組織を大きくすれば、掛け持ちが解消され、一つの分野に深く取り組むことができる。おのずと能力向上につながるという理屈だ。

 庄川町は昨年末、砺波広域圏8町村とたもとを分かち、砺波市との1市1町で合併任意協議会を発足させた。砺波市の行政職員は、庄川町の約3倍の260人。12年に施行した情報公開条例は、法令担当職が中心となり自力でまとめた。今月1日、任意協議会事務局のスタッフに加わった間馬主幹は「大きな市になれば、専門職を置ける」と期待を膨らませる。

 しかし、住民には砺波市との1対1の合併に抵抗感が強い。昨年末に開いた自治振興会役員と町議会の合併懇談会では「吸収合併も同然だ」と、反対意見が相次いだ。

 町自治振興会連絡協議会の石黒幸雄会長(69)は「組織全体の力量は上がるだろうが、職員の能力に隔たりがある状態では結局、庄川町を知らない砺波市の職員に飲み込まれるだけ。町民の幸せにはならない」と言う。規模拡大の効果を盲信するわけにはいかない。

庄川町役場総務課の情報公開受付窓口
総務課の情報公開受付窓口。開示請求はまだ1件にとどまる=庄川町役場

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