もともとは県の職員。計画課などを経て、平成11年に今の職場に派遣された。将来を見越し、都道府県の枠組みや役割を再編する「道州制」を考えているうち、市町村合併も研究し始めた。
道路を1本つくるだけでも、道沿いの地価は上がる。住む場所によって住民が受ける恩恵はずいぶん違う。東京都が、政府機関の立地で巨大な利益を受けているのも同じ理屈だ。「行政マンは常に、こうした『事実上の利益』が存在しないかのように、事務を行っている。考え始めたら仕事になりませんからね。でも合併論議は、この当たり前の事実からスタートする必要があるんです」
「平成の大合併」には特徴がある。砺波地域のように、昭和の合併である程度まとまった町などが、さらに広い地域で合併すると、複数の中心地を持つ構造になる。「周辺地」になる住民が不安を抱くのは当然だ。法定協議会をつくりながら決裂した全国のケースは、多くがこの問題を背景に抱えていた。
過去の合併も同じだ。「周辺」を納得させるため、やむを得ず選択されてきた支所方式。こうした支所機能は、高岡市の例のように、歳月とともに縮小されるケースが目立つ。合併直前までは、周辺の旧市町村にも「合併しない」という選択があり、交渉力を発揮して権限の大きい支所の設置などを実現させるが「力関係だけで合意すると、やがて事務を効率化するという理屈に対して説得力を失う。職員が替われば、縮小されゆく運命にあります」。周辺にハコモノをつくるのも、その場しのぎにすぎない。
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