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正念場の地方自治 No.24 連載目次 前へ 次へ

第2部 巨大化の未来は 地方制度調査会 2003.02.13
 雪深い山村に立つ豪華なリゾートホテルの一室に、新潟県内の町村長らの声が響く。「なぜ『大きいほどいい』といえるのか」「合併しない市町村への罰則とも思えるやり方はおかしい」

 小泉純一郎首相の諮問機関「地方制度調査会」(諸井虔会長)が1月24日、新潟県黒川村と新潟市で行った意見交換会。西尾勝副会長(国際基督教大教授)がまとめた「強制合併」推進とも受け取れる私案に対し、厳しい意見が続いた。

 西尾副会長は「私案はたたき台。強制的な意味合いは、ほどよいところに修正されるだろう。ただ『内部団体』については、私は執念を燃やしている」と力を込めた。

見えぬ合併後のシステム
小規模町村は内部団体化も
 西尾私案では合併特例法の期限が切れる平成17年4月以降、財政的な優遇策を取りやめ、「解消すべき自治体の人口規模」を示して合併を強力に進めていく。「アメ」をやめて「ムチ」を強める提案ともいえた。

 それでも合併しない小さな市町村は、そのままでは生き残る道がない。選択肢の一つは「事務配分特例方式」。小さな市町村の事務を窓口サービスなど一部に限り、都道府県が他の事務処理を行う。もう一つの「内部団体移行方式」は、隣接する自治体に編入し、組織を簡素化するという案。国から地方へ税財源を移して分権を進め、自治体の担う仕事が増えると、小さな市町村では荷が重いという考えが背景にある。これには全国町村会などが猛反発した。

 自民党プロジェクトチームは既に「1万人」の線で、解消すべき市町村の規模を例示している。黒川村では首長らの不満の声が続き、湯沢町の村山隆征町長は「うちは9千人だが、観光資源に恵まれている。住民がよく考え、合併しないと決めた。なぜ悪者扱いされるのか」と迫った。

 西尾副会長は首長らに尋ねた。「政府与党からは『小規模町村をどう扱うのか考えろ』と言われる。だが小規模町村の定義もなく、無理な話だと思う。せめて努力目標として、人口規模を示すこともやってはいけないのか」。その言葉からは、分権を掲げる旗手の戸惑いが伝わってきた。

§   §   §

 自ら「評判が悪い」と認める私案の中で、「手応えを感じている」のが内部団体だ。私案は、小規模町村の編入だけでなく、合併後の市などについても内部に自治団体を置くことを想定した。

 西尾副会長は「旧町村がアイデンティティーを失わないようにしたい。『昭和の合併』の二の舞を踏んではいけない」と語る。現在の合併特例法で旧市町村に置く「地域審議会」は、住民の意思を行政に反映させる機関でしかない。もっと「自治の領域」を認めた方がいいという主張だ。


 「大都市で言えば単なる行政区ではなく、長の公選や議会があるなど、“自治区”だと思ってほしい。ただし、旧町村単位で自治団体をつくるのか、もっと小さい単位で住民自治組織をつくるのか。法人格の有無についても検討が必要だ。地域によって考え方は違うから、できるだけ柔軟な制度にしたい。パターンは縛らない方がいい」

 地制調の論議を踏まえたうえで総務省も制度の検討に入ることになる。実現すれば、市町村のかたちは大きく変わる。だが、現実に進む合併の動きに対して審議はあまりにも遅い。「交付税の行方や税源移譲さえ、見通しがつかない。自治体の在り方を変えるなら早く将来像を示すべきだ」。県内で合併を検討する市町村職員は、あせりを口にする。

新潟県黒川村で町村長と意見交換した地方制度調査会の西尾副会長(右)ら
新潟県黒川村で町村長と意見交換した地方制度調査会の西尾副会長(右)ら

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