富山市は昨年夏に「大同団結」を唱え、広域圏11市町村による合併実現に向けて動き始めた。人口32万人、本年度予算の一般会計約1,100億円。県内一の行財政規模を誇る自治体が、合併を積極的に進める理由は市民には分かりづらい。
確かに、合併を呼び掛けた各自治体とは、ごみやし尿処理など広域圏行政の実績があり、生活圏の一体化が進んでいる。国は「アメ」と「ムチ」で合併を迫っており「広域圏のリーダーとして相手を選別できる立場ではない」(市幹部)という言葉にもうなずける。
だが、合併特例法による優遇措置があるとはいえ、財政力が弱く、広大な中山間地を抱える町村を市域に加えれば、否応なく市民の負担は増す。それにもかかわらず、「対等合併」や「区」制導入を提案するなど、周辺町村に“譲歩”を重ね、巨大化を急いだ。
「手をこまねいていては都市間競争に敗れる。求心力ある拠点都市を実現したいのですよ」と、石田淳助役は説明する。
隣県を見渡せば、新潟市約53万人、金沢市約46万人で、富山市を上回る。両市とも周辺町村と合併協議を進め、政令指定都市実現を狙う。さらに約10年後には北陸新幹線が開業。人口が一気に流出する「ストロー現象」も懸念され、両市の間に埋没しかねない。「都道府県を再編する道州制を視野に、さらに巨大化を進める必要がある」と力を込める。将来の財政不安から合併に踏み出した周辺町村とは、動機は異なっていた。
|