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正念場の地方自治 No.27 連載目次 前へ 次へ

インタビュー編 岡本 全勝氏 総務省自治財政局交付税課長 2003.02.18
 平成の大合併で、県内市町村が注視しているのは「地方交付税」の行方だ。地下で「霞ケ関」駅とつながる高層ビル。その6階にある総務省自治財政局で、岡本全勝交付税課長は「地方交付税は増税でもしない限り、減らしていくしかない」と力を込めた。連載1、2部で指摘した課題を踏まえ、5人の論客が地方自治の将来を語るインタビュー編の初回は、元富山県総務部長。地方財政の厳しさを肌で感じるポジションから、県内の市町村に助言する。
減らすしかない交付税

国と地方が積み上げてきた借金は693兆円に上る。地方財政の課題はあまりに大きい。

 国の歳入は82兆円で、税収は半分の41兆円しかないのが現実です。残りを借金でまかない、しかも、本来してはならない赤字国債を30兆円も出している。かつては税収の伸びが、行政サービスを支えてきましたが、今はデフレで税収増も期待できない。

手だてはあるのか。

 収支バランスをとるには、一つは景気を良くすることです。だが、景気が良くなり、税収が1割増えても4兆円にしかなりません。そのうえ、10%の経済成長率が必要です。ありえませんね。

 あとは歳出カットか、増税しかない。地方の人が「もっと交付税がほしい」と言っても、今のままでは成り立たないんです。しかし、増税について小泉純一郎首相は、しないと言っている。

切り詰めるしかないと…。地方交付税はどこまで減るのか。

 交付税は15年度予算で18兆円。これは7.5%の減です。3年続けてのマイナス。しかし、本当ならどこまで減らさなアカンかというと「10.6兆円」です。それが法律に定められた率による交付税額であり、”実力”です。今はその倍近く配分し、不足分は、借金などで下駄をはかせているのが現状。「子どもたちの世代に借金を残さない」「借り入れをしない」のであれば、本来は3分の2…いや、半額近くになってしまう。

岡本全勝氏
 おかもと・まさかつ 昭和30年奈良県生まれ。東京大法学部を卒業し、自治省に入省。鹿児島県財政課長、自治大臣秘書官などを経て平成6年から10年まで富山県総務部長を務めた。著書に「地方交付税」など。
特例債は必要最小限に

ある村長は『政府はわれわれを見殺しにするはずがない』と言っているが。

 絶対にしません。私たちの任務はどこの市町村も、最低限の仕事ができるようにすること。3分の2まで減らしてしまうと、仕事ができませんから、何年かけて、どの程度減らすかは、毎年毎年の判断になります。

市町村はどうやって財政を切り詰めるのか。

 「切れる経費」と「切れない経費」を分別するしかないと思う。市町村で言えば、教育と福祉、消防はカットできない経費ですね。こうしたものについては国家の責任として歯を食いしばってでも交付税を確保します。ただ総務費や議会費、公共事業などは、工夫していただかないと…。

合併で、交付税の削減が「ムチ」として使われていると言われる。

 そんなこと政府は掲げていません。今回の合併は、基礎的な自治体として地方分権の受け皿になるだけの”体力”をつけるのが目的です。ただ、合併を進めている時に、交付税を減らさざるを得なくなった。結果として「ムチ」としてとらえられたきらいはあります。合併を10年前にやっておけば、こんな議論にはならなかったんです。

 昨年、片山虎之助総務相は「片山プラン」を提唱しました。地方の自由度を高めるために、交付税だけでなく国庫支出金の見直しや、国税を減らして地方税を増やす三位一体の改革を、順次進めているところです。

財務省などが抵抗していると聞く。

 国自体が赤字ですからね。だが、理屈では正しいと思うし、時間をかければできるはずです。

「アメ」についてはどうか。合併特例債に期待する市町村は多い。

 特例債は、合併するときの障害を取り除くための制度です。借金であることに違いないんですから、できれば使わない方がいい。「あるから使いましょう」という発想に立たず、そこは見識を示してほしいですね。結局は、子どもたちの借金になるんですから。


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