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条例には名高い「美の基準」も設けられた。自然との調和などを大切にし、デザインや建築方法をルール化したものだ。
「背戸道」と呼ばれる昔ながらの細い路地。顔を合わせた住民たちが、役場職員にあいさつを交わす。路地を抜けたところに海水浴場が広がり、監視所が建っていた。
職員は「美の基準に照らして、建て替えたんです」と話す。以前コンクリートで造られていた建物は、地元で産出される石を使って生まれ変わった。位置もずらした。住民が大切にしている弁天島がよく見渡せるよう景観に配慮したという。
真鶴町は今、隣の湯河原町との合併を模索している。最大の課題は、条例のすり合わせだ。
湯河原町にも「豊かな環境を育む基本条例」があるが、内容は大きく異なる。議会が絡む開発手続きや美の基準は、真鶴独自のもの。温泉街の湯河原町には高いビルがすでにあり、真鶴の厳しい条例をそのままでは適用しにくい事情もある。
岬近くに住む大学生の多田さんは、公募枠で合併推進協議会(任意協)の委員になった。「美しい景観と、まちづくり条例は真鶴の誇りです。何とかして守りたい」と思いを語る。しかし、厳しい建築制限を隣町の住民たちはどう受け止めるのか、どんな形でなら条例を残せるのか。まだ先行きは見えてこない。
「難しい問題です」と三木町長も言う。ただ、「国からのお仕着せの合併にはしない」という気概がある。先駆的に取り組んできたまちづくり条例や身近な福祉を、いかに調整していくかが問われると考えている。
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