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正念場の地方自治 No.42 連載目次 前へ 次へ

第4部 合併と市町村議会 住民座談会 2003.04.15
 「考えをしっかり伝えなければ…」。3月末にミニ座談会を開いた開田晃江市議(自民)は、座卓を囲む住民たちをじっと見つめた。

 会場に集まったのは、魚躬町内の住民20人。この地域は上市川をまたいで、富山市水橋地区に接している。水橋のショッピングセンターに買い物に行く主婦も多く、町内では多くが「富山市との合併」を望んでいる。

 「率直に言います。富山市と上婦負は、どんどん合併の話を進めています。出遅れてしまった滑川が、そこに加わるのは至難でしょう」。開田市議がそう伝えると、農家の男性(70)が「何とかならないのか」と不満を口にした。「どんな合併になってもいいのなら、いつでもできます。じっくり考えましょうよ」

「論戦なき結末」に不満
意見割れたままの滑川
 隣接する富山市と魚津市から合併のラブコールを送られ、難しい選択を迫られた滑川市。中屋一博市長が「当面は合併しない」と表明してから、2カ月余りたつ。背景には富山との合併、魚津との合併、単独と、それぞれ住民アンケートの結果や議会の意見が割れた事情があり、「どこと合併しても、わだかまりが生じる」と判断した。

 徹底した行財政改革で単独の道を貫く市長方針が出た今も、開田市議は「合併論議は、尽くされていない」と煮え切らない思いを抱えている。

 2月1日。市議会の合併問題検討特別委員会は市民に公開され、各議員があらためて立場を鮮明にした。最大会派の10人は「合併すべき」、市長を支持する議員ら8人は「単独」、開田市議ら2人が「期限にこだわらず合併を模索する」。昨年12月の意思表明から主張は変わらなかった。

 終了後の幹事会は、次回2月4日に公開する特別委の運営でもめた。合併推進派の議員は、中屋市長が方針を打ち出す前に、合併するか、しないか「議会の意思」を示さなければならないと強硬に主張。単独派は、その必要はないと拒んだ。

 話し合いは進まない。開田市議は思わず「議会制民主主義は基本です。でも、市民の意見を反映しているかどうか不安もあるんです」と発言していた。期限にこだわらず、住民の「生の声」を十分に聞いて検討したいと伝えたかったが、そんな思いも「バッジをつけたら責任あるがいぞ」と言う男性議員の声に、かき消されてしまった。

§   §   §

 議会は数と数のせめぎ合いが続く。そのはざまで開田市議は「よく言えばキーパーソン、悪く言えば利用されかねない」苦しい立場だ。「もう1度、市民の意見を聞きたい。住民投票条例案についても、どう受け止めているのか確かめなくては」。3月から4月にかけてミニ座談会を催したのは、やむにやまれぬ気持ちからだった。

 魚躬町内とは異なり、市中心部の中町公民館で開いたミニ座談会では、住民は単独を支持しながらも「今の論議は、何が何やら分からん」と憤りを隠さなかった。

 市民の意見は割れたままだが、各地のミニ座談会で噴き出した不満は一致していた。「仮に住民投票になり、孫の代に責任のある選択をしたくても、わしらには知らんことが多すぎる」「合併にしろ単独にしろ、議員がなぜそう考えるのか説明に回るべきだ。地元町内だけでなく、議会が各地で公聴会を催すぐらいの熱意を見せてほしい」

 まちの将来を決する合併問題で、議会が果たす役割と責任は本来重いはずだった。論争を重ね、住民の意思を確かめながら熟慮する姿勢を、住民たちは求めていた。

開田滑川市議のミニ座談会
合併問題について住民の意見を聞こうと催した開田市議のミニ座談会=3月28日、滑川市魚躬
 合併論議をきっかけに議会のあり方が問われている。“民主主義の学校”は今、どこへ向かおうとしているのか。すでに法定協議会をつくって合併を目指している自治体の議会も、議員定数や報酬の見直しなど抱える課題は大きい。第4部は合併と選挙を見据えて「市町村議会」を考える。

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