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正念場の地方自治 No.44 連載目次 前へ 次へ

第4部 合併と市町村議会 閉ざされた会合 2003.04.17
 再三にわたる要請にもかかわらず、ドアが開くことはなかった。1月21日から4回にわたって開かれた八尾町議会の合併特別委員会。合併の枠組みをめぐる議論は、報道関係者らをシャットアウトして進められた。

 八尾町は当初、町長、町議会とも上婦負6町村による「中規模合併」を志向していた。ところが、周辺町村の反応は冷ややかで、残された選択肢は否応なく2つに絞られた。富山市を含む7市町村による「大規模合併」に進むか、それとも「単独」を貫くのか−。密室では激しい議論が交わされ、導き出した結論は「大規模合併」だった。

合意形成の過程見せず
残されなかった議事録
 「目的のために手段を選ばなかったと言われても仕方ない」。大島満町議(無所属)は少し申し訳なさそうに、非公開となった理由を語り始めた。

 町議会を構成する議員20人のうち、「大規模合併派」と「単独町制派」は数人ずつで、約半数が立場を鮮明にしておらず“中間派”と位置付けられた。その多くは中山間地を地盤とする議員で、単独町制維持の難しさを知りながらも、地元の反発を懸念していた。住民には「昭和の大合併」を契機に衰退した旧大長谷村の記憶が鮮明で、議会も「合併は上婦負機軸」と、住民懇談会で繰り返した経緯があった。

 大島町議ら合併推進派は、特別委を公開にすると、“中間派”は「単独町制の維持」を主張せざるを得なくなってしまうと判断した。「しゃべりが苦手」などという理由で公開そのものを嫌う議員も多く、非公開とすることで大多数の利害が一致した。町当局側も公開を望まず、結果は推進派の読み通りとなった。

 だが、大島町議の表情は晴れない。5年前、議員活動のスタートに当たって「本会議だけでなく、全員協議会や各常任委員会の傍聴も認めるべきだ」と主張していた。議案の審議経過や議員同士のやり取りを住民にさらすことは、政治家の説明責任を果たすことであり、有権者に票を投じる判断材料を与えることにもなる、と考えていた。

 しかも、合併は住民1人ひとりの生活にかかわってくる重要な問題で、有権者にとって「おらが議員さん」の発言や動向は最大の関心事だ。それにもかかわらず、特別委でのやり取りは議事録にも残されなかった。

 議員1人ひとりが合併への立場を表明し、市民に議論の経過を示した滑川市議会が揺れ続けたのに対し、「非公開で審議を進めた八尾は、町と議会がうまく着地点を見いだした。でも、どちらがよかったのだろう」。大島町議の胸にそんな思いがよぎる。

§   §   §

 この数年、県内の市町村議会では議会改革の動きが急速に広がっている。議会広報を創刊したり、インターネットを活用して情報発信するなど、「開かれた議会」の実現に懸命だ。背景には情報公開の流れと、それに伴って有権者が市町村議員に厳しい目を向け始めたことがある。

 八尾町議会でも、ケーブルテレビを使って年4回の本会議と全員協議会の一部を録画などで中継し、情報公開に努めている。ただし、全員協については、議会運営委員会で事前に取り決めた日に限っての中継となる。

 町民からは「事前に用意した原稿を読み合うだけで、本音の議論を交わす場面はめったに見られない」という声が聞こえる。

 北日本新聞社が加盟する日本世論調査会が3月に行った地方自治に関する世論調査によると、地方議会の現状に有権者の62.6パーセントが「満足していない」と答えた。その理由として、半数以上が「議会の活動が住民に伝わらない」ことを挙げている。

 選挙の洗礼を受けたとはいえ、議員は決して有権者から白紙の委任状を与えられたわけではない。その場限りの利害を優先させ、議論や発言の内容を隠すことは許されない。

八尾町議会市町村合併特別委
非公開で行われた八尾町議会市町村合併特別委。報道陣には数分間の撮影だけが認められた=1月21日、八尾町役場

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