議員の任期を延ばしたことで、矛盾を抱えた自治体はほかにもある。旧静岡、清水市の合併で、国内で最も面積の広い市になった新静岡市。問題になったのは「議員報酬」の格差だった。
「選挙も行わずに任期を延ばし、お手盛りで報酬額を引き上げるなど、とんでもない」。清水商工会議所の藤浪二美雄副会頭(68)は昨年来の議会サイドの動きを振り返り、憤りを言葉にした。
旧清水市の議員報酬は月額51万9,000円。一方の静岡市は64万9,000円で13万円の開きがある。「市域が広がるのを理由に、高い方に合わせようという動きが伝わってきた。民間は給与カットで涙をのんでいるというのに」。昨年11月に清水市長らに提出した引き上げ反対の陳情書には、自治会連合会や商工会議所、農協、森林組合など各団体が名を連ねた。3月末になって、当面は現行のまま報酬を据え置くことに決まり、極めて異例な「1市2制度」で、新市の議会が出発することになった。
議員を95人抱える南アルプス市は報酬額を決めかね、今後、報酬審議会を開く。1日に新設合併した他の市町を見渡すと、福岡県宗像市など4市町が「高い自治体」に合わせ、3町で合併した広島県大崎上町は「真ん中」に合わせる玉虫色の決着をみた。
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