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正念場の地方自治 No.46 連載目次 前へ 次へ

第4部 合併と市町村議会 議員定数 2003.04.21
 「1人は厳しい…」

 利賀村議会の堀元繁議長は、渋い表情で切り出した。

 2月5日、井波町で開かれた砺波地域8町村の任意協議会。「議会」の将来を決める重大な提案がこの場でなされた。

 「議員定数案」。合併は平成16年11月を目指し、初回の設置選挙では、法律の上限よりも定数を増やす「定数特例」を使う。新市の議会は34人でスタート。旧町村議の任期を延ばす「在任特例」は使わないというものだった。いさぎよく選挙を行う案には堀議長も納得できた。議員数が8町村合わせて91人にもなる以上、在任特例など考えられない。

 旧町村に議席を振り分ける「中選挙区制」を採用し、利賀など4つの村は2つの議席が確保される。だが4年後、第2回選挙の定数を聞いて堀議長は耳を疑った。議席を上限いっぱいの30人に落とし、減らされるのは4つの村だという。定数は「1」になる。

 「2回目以降は新市の議員で決めればいい」。そう発言していた。

旧村1人に1度は難色
消滅する「地区割り」
 堀議長は、合併の枠組みが固まった昨年12月上旬、米沢博孝村長から「村には、2人分が確保される」と聞かされていた。直後の住民懇談会でも、村長はそう説明してきた。「話が違うじゃないか」。村長に迫っても反応はなく、他の3つの村の出席者も口を閉じたままだった。場違いな発言をしているようで、思わず周囲を見渡した。

 利賀村を代表する堀議長は、ほかの3村とは異なる事情を抱えて協議に臨んでいた。4つの村の人口は、いずれも1,000人前後。8人か10人の議員がいる。2回目の定数が減るのは同じだが、それぞれの村を取り巻く環境には大きな違いがあった。

 東海北陸道が昨年、岐阜県白川村まで開通。平と上平村は山あいの小さな村だが、世界遺産の「合掌造り集落」を生かし、中京圏から人を呼び込むなど「観光」という産業基盤を築いた。井口村は新しい市のほぼ中央に位置し、「合併しても辺境になるという意識はない」(伊東浩村長)。

 利賀村は世界演劇祭を開催し、「演劇の村」として全国に名をはせている。そば祭りなど集客力のあるイベントも多く、村を挙げて地域おこしに努めてきた。しかし、イベントだけでは村民の懐は潤わないと、堀議長は身に染みて感じている。

 「山村の産業は限られているんです。利賀ではそれが何か。公共事業ですよ。村は陳情と公共事業で成り立っている」

 村民の約3割が、建設業に就いているのが実態だ。国や県の事業を村が呼び込み、村民の要望を受けた議員が地盤の業者に仕事を引っ張る。トラブルがあれば、仲介役になるのは議員。行政、村民にとって欠かせない存在になっている。

§   §   §

 利賀では地区ごとに議席を振り分け、「寄り合い」で候補者を選ぶ。過疎が進み、なり手不足に悩まされながらも、このやり方を続けてきた。11年の選挙では定数を12から4つ減らし、割り振りを見直してでも「地区の議員」を確保した。

 「地区の面倒をみるのが議員さんの役目だ」。ある区長経験者は言い切る。11年の村議選は4期ぶりの選挙戦となったが、革新系の新人1人が「地区割り」に反対の声を上げて出馬しただけ。今回、4月の村議選は無投票の公算が大きく、地区割りは根深く浸透している。

 合併すると、これまでのシステムはがらりと変わり、議員は遠い存在になる。市全域で議員を選ぶ「大選挙区制」になれば、人口1,000人程度の利賀からは議員を出せなくなる恐れもある。だが、「議員を確保できないのは駄目だ」と地域のエゴを押し通せば、走り出した合併協議が暗礁に乗り上げかねない。堀議長は悩んだ。

 3月2日の任意協。再びテーブルに着いた堀議長は定数「1」に難色を示しながらも、最終的には事務局案をのんだ。

 「地域審議会を設ける」という条件が付けられたからだった。

任意協議会第2回会議
議員定数などを話し合った任意協議会第2回会議=2月5日、井波彫刻伝統産業会館

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