「あまりいいもんじゃありませんよ」。福野町の磯辺実町議は、初めて出馬した平成3年を思い起こす。掲げた公約は、ほかならぬ「中選挙区制の廃止」だった。
市町村議選は大選挙区制が原則とされる。中選挙区は、公職選挙法の「特に必要がある時」のただし書きを適用した特例で、離島など特殊条件に配慮して実施される。
福野町が41年間にもわたって、中選挙区を採用したのは「昭和の大合併」の名残だった。町は昭和29年、旧東石黒村と対等合併。人口の少ない村から議員が出せないとして合併条件に盛り込んだ。30年の選挙では旧村を軸に5つの選挙区を置き、旧高瀬村の一部を編入した34年には7つ、38年からは4ブロックに分けた。
福野町は中心から端まで約3キロとコンパクトな地形。過渡的措置だった制度はその後も続き、大選挙区への移行は「町民に根付いている」のを理由に何度も見送られた。元町議は「合併の経緯を知る議員から説明されると、反論できない雰囲気になった。人口の少ない地区では『費用のかかる選挙をしないで済む』という声もあり、大選挙区に踏み切る決め手がなかった」と振り返る。
昭和50年には労働団体などが、大選挙区制を求める直接請求の署名運動を展開。請求に必要な数の10倍を超える2,500人の署名を集めたが、中選挙区推進派がそれを上回る署名を集めて退けた。その後、町青年議会が実施した町民アンケートでも、大選挙区への賛成はほぼ半数だった。
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