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正念場の地方自治 No.51 連載目次 前へ 次へ

第4部 合併と市町村議会 選挙の重み 2003.04.26
 細かい雨を避けながら買い物客が足早に歩く。選挙戦が終盤に入った25日。小杉町のショッピングセンター前を、候補の名を連呼しながら選挙カーが行き交う。「何としても、町政の場に出させてください」「どうか、どうか○○に一票を…」。昼時の10分の間に、6つの陣営の車が次々に現れては去っていく。ウグイス嬢のアナウンスは絶叫調だ。

 27日投票の小杉町議会選挙は現職13人と新人8人、元職1人が出馬し、定数18を4人オーバーした。選挙戦はいや応なく熱を帯びる。

 だが、24日配布された選挙公報で「合併」の2文字を記したのは13人。町の将来を決める合併問題は明確な争点になっていない。「最重要課題だ」と力を込める候補がいる一方で、こんな声も。「合併で戦いたいけど、一般論しか言えない」「訴えないよ。票に影響するから」

政策で勝負するプロを
町づくり決める1票
 枠組みで揺れ続けた小杉町。住民アンケートの結果を受け、昨年8月に土井由三町長が出した方針は射水郡4町村の合併だった。だが、周辺自治体や住民から、新湊市を含む広域圏5市町村合併の働き掛けが強まった。

 5市町村での合併協議に入るか否かを問う「住民投票」があったのは、2月16日だった。「賛成」8,454票、「反対」7,984票。差がわずかとはいえ、結果は尊重しなければならない−。3月議会では、協議への参加を「全会一致」で可決した。

 ある現職候補は、住民投票の前に議論を尽くせなかったと、後悔している。「態度がはっきりしない議員がいた。黙ったままの者もいる。それがケーブルテレビで流れ、住民から『議会ちゃ、この程度か』とおしかりを受けてね」。住民に判断をゆだねる直接民主主義も大切だと感じるが、苦い思いはぬぐい切れない。

 町は合併協議へと走り出した。広域圏合併の推進を掲げる候補の1人は「反対する人が当選すれば、流れが変わることもある」と危機感を抱き、合併のメリットを強調する。一方、4町村での合併や単独町制を主張してきた現職は「あくまで話し合いに参加するだけ。納得のいく協議が行われるか、厳しい目を向けていく」「協議の情報公開が大切だ」と訴える。

 だが論点は、真っ向からぶつかり合う構図になりにくい。あえて合併を口にしないという候補は「民意が二分された事実を意識しないわけにいかない」と打ち明けた。

§   §   §
 「それでも争点にしなければならないんだ」。現職のある候補は街頭演説を中心にスケジュールを組んだ。合併問題の最終決定権は、議会にあるという思いが強い。雨模様だった24日の午後、ショッピングセンターの駐車場に現れた候補は傘も差さずにマイクを握った。「突き詰めれば、どんなまちづくりをするか。考えをはっきりさせるのが議員の責任なんです」

 演説を遠くから眺めていた主婦(62)が、うなずく。「いつも聞こえるのは名前だけ。役場はどうなるの? 不便にならないかしら。もっと合併について訴えてほしい」

 5月14日に発足する法定協議会には議長のほか2人の議員が選ばれ、重要な役割を担う。新市の名前、庁舎位置、公共料金の調整…。協議会メンバーだけでなく、議会全体で検討する局面も必ずある。住民は「子どもの権利条例」や策定中の「まちづくり条例」など独自の条例の行方を気に掛けている。小杉を支えてきた太閤山地区も高齢化が進み、充実した福祉施策が欠かせない。

 4人オーバーの激戦。ある候補は、新市の議会選挙に出るのを見越し「今のうちに支持基盤を固めておきたい」と出馬の理由を語る。当選に必要な票数が、確実に増えるからだ。だが、地盤の発展に目を奪われ、利益誘導型の活動を続けるだけでは改革は望めない。議員に求められるのは、現場へ足を運ぶ行動力と徹底した調査力、将来を担い得る政策立案力だ。

 まちづくりは有権者の1票にかかっている。

買い物客に支持を訴える候補者
買い物客に支持を訴える候補者=小杉町中太閤山
 第4部終わり。第5部「新市建設への助走」は5月下旬に掲載します。

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