篠山市は、合併前の旧町にまんべんなく配慮して、特例債事業を進めてきた。旧篠山町は市民センターなど、旧丹南町は中央図書館やJR駅の周辺整備、旧今田町は温泉施設。旧西紀町は斎場だが、ほかの借金も使って運動公園を整えている。
新市建設計画をつくる際、旧町の将来構想をほとんど盛り込んだ。遅かれ早かれ、着手しなければならない課題ばかりだったと森本課長は力を込めながら、こう打ち明けた。「まったく新しいものをつくるには時間がかかる。それに旧町の計画を生かす方が、住民の理解を得やすいんです。住民は自分たちの町の事業が、ほかより多いか少ないかを気にする。合併にはそういう難しさ、もどかしさがあるんです」
篠山に接する三田市の関西学院大学キャンパス。「篠山の計画は、総花的ですね。明確なまちづくりの方向性が見えてこない」と総合政策学部の長峯純一教授は言い、「成長を前提にした将来の見通しも、甘かったと思う」とたたみかけた。
新市建設計画は合併から10年後の人口を6万人に想定したが、増える気配はない。JR線の複線化や合併による知名度アップが追い風になると期待し、阪神地域のベッドタウンとして人が流れ込むのを見込んだが、不況で阪神地域の地価が下がり、篠山まで引っ越してこないからだ。「人口がこのまま増えなければ、過剰投資と批判されても仕方がないでしょう」
そもそも住民は、開発型のまちづくりを望んでいるのか。住民や議員へのアンケート調査からは開発優先や人口増を望む声と、逆に開発抑制や現状維持を望む意見が浮かび上がり、ちょうど二分された状況が読みとれるという。「十分に議論を重ね、将来像を描くべきだったのではないか」。長峯教授は疑問を感じている。
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