全国で進む合併協議を外部から注目している学者は多い。言語学が専門の加藤重広富山大助教授もその1人。「かなの使用はある意味で賭けですね」。ひらがなには柔らかな響きがあり、住み良さや癒やしといった印象を与える。カタカナは軽くて新しいイメージ。未来への期待も感じさせる。「でも、そんな印象も時間がたてば薄れ、自治体数が増えると注目されなくなる。新たな方向性を打ち出す意思は示せますが、覚悟が必要です」
民俗学者や地名研究家の間では、かな表記だけでなく、東西南北の多用や県名の借用、東京都の大森と蒲田で「大田区」としたように一部を合成させるケースが増えているとして「安易な命名で、歴史を刻む名が消えるのはしのびない」と危ぐを抱く声も出始めている。米フィラデルフィア(友愛)のように、抽象名詞にする場合も難しい。「豊」「幸」など願望を表す言葉は画一的になりかねないからだ。
選考小委員会では、一筋縄ではいかない課題を背負い、委員が思いのたけを語り続けた。「歴史や文化の視点から考えたい。古くから使われる馴染み深いものがいい」「活字のイメージや音の響きが大切でしょうね」。どんな都市像を描くかも欠かせない視点になる。
委員会はまず、既存の市町村名と同じ表記の案を採用しないことを決めた。次回までに事務局が「地域の歴史や文化を表す」「夢や理想がある」「対外的に知名度が上がる」「その他」の4ジャンルに名称案を分類。各委員が候補を選んで持ち寄ることになった。
歴史、夢、知名度アップ…。どんな名が選び出されるのか。将来の新市名は、全国から寄せられた案の中にある。
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