病院建設には、膨大なお金が動く。6日の指名競争入札では、建設、電気設備、機械設備の各工事が、計57億円余りで落札された。医療機器にも費用がかかる。
10日開かれた黒部市の6月議会。あさひ総合病院の建設について、議員が「重い負担を抱えるのではないかと、市民は不安を感じている」と質問した。「内政干渉はできない」。荻野幸和市長はそう断りながらも、合併が浮上する前から建設計画が進んでいたことを強調し、答弁を続けた。
1市3町のエリアには黒部市民病院もあるが、2つの自治体病院は20キロ近く離れている。
黒部市内を中心に、宇奈月や入善などから患者が集まる黒部市民。あさひ総合は朝日や入善などをカバーし、県境を越えて新潟県青海町からも患者が訪れる。住民にはいずれも大切な病院だ−。市長の考えは、赤川院長の思いと同じだった。
合併後を見すえれば、2つの病院が、どう連携していくかが大きな課題になる。
荻野市長は続けた。
「機能分担を図っていく。そのうえで、(両病院で導入を進める)電子カルテは、情報交換できるようにしたい」。将来的には、開業医や介護分野との連携も、視野に入れているという。
病院は、お金を食うだけの行政分野と思われがち。合併前の大型事業だけに、近隣市町では「なぜ、こんな時期に」といぶかしがる住民や「デリケートな問題でして」と口を閉ざす職員も少なくない。しかし、これから団塊の世代が社会の一線を退き始めれば、高齢化は一気に加速する。地域を悩ませる人口減に歯止めをかけるためにも、安心して暮らせるまちづくりが欠かせない。オープンに議論を深める土壌を整えるべきだ。新幹線駅や黒部峡谷などの観光とともに、「医療福祉の充実」を新市建設の目玉として打ち出してもいい。
「朝日町には大きな産業がなく、病院は雇用の場でもあるんです。まちづくりのつもりで取り組んでいきます」。地元で生まれ育った赤川院長は言葉をかみしめた。赤字を生まない経営努力が欠かせないと、誰よりも感じている。
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