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正念場の地方自治 No.67 連載目次 前へ 次へ

第5部 新市建設への助走 三位一体の改革(下) 2003.06.20
 景気の低迷は続く。税収が落ち込んでいる地方自治体は、合併する、しないにかかわらず行財政改革を迫られ、県内でも氷見市などがスリム化に取り組み始めている。

 氷見市の財政見通しでは、18年度には基金に手をつけても約40億円の財源が不足する。堂故茂市長は「早急に改善したい。具体的には、市が出している『補助金』ですね。時代の要請に合っているのか、本当に必要なのか。洗い出す作業を今、進めているところです」と言う。土地改良区や森林組合への補助金縮減など、一つひとつ具体的に見直していく。

 住民サービスを実際に提供している立場から、堂故市長は三位一体の改革論議を、歯がゆい思いで見てきた。地方分権と行財政改革が「ごちゃ混ぜ」に進み、おかしなことになっているのではないかという懸念だ。

 「三すくみ」状態で主張を譲らぬ各省庁のメンツを保ちながら、18日まとめられた「骨太の方針」第3弾の原案。国から地方への補助金を4兆円ほど削減し、その8割程度を地方の税源に移すほか、交付税の総額抑制などを盛り込んでいる。

 「国の議論の仕方は、まず国があって都道府県があり、市町村がある。本当はそうでないはずなんですが…」。だれもが感じている違和感を、堂故市長も口にした。

必要なのは「現場感覚」
地方職員が自ら見直し

 地方分権改革推進会議が開かれた永田町合同庁舎からほど近い、東京都内のビル。民間シンクタンク「構想日本」政策担当ディレクターの冨永朋義さんが切り出した。

 「行革には、深く根を張る国への“依存心”を断つことが必要です。本当の意味での三位一体の改革が欠かせません」

 構想日本は、加藤秀樹慶応大学教授が代表を務め、会費制で運営する。政治家や企業のしがらみはなく、行財政など構造改革を中心に政策提言を続けている。5月には、自治体の「現場」から改革を実現するという提言を発表したばかりだ。

 三位一体の改革では、各省庁が主張を押し通そうと躍起になってきた。議論が「お金の話」に終始しているのも問題だ。「国が決める補助金カット額など、住民ニーズを反映しないマクロな数字で改革しても、結局は弱いところへのしわ寄せになる。現場感覚を大事にし、仕事とお金をセットにして考えるべきです」と冨永さんは主張する。

行財政改革を進める氷見市。女性職員の制服を廃止した
行財政改革を進める氷見市。女性職員の制服を廃止した=氷見市役所
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 分権には、国と地方の役割分担を明確にすることが欠かせない。だが、実際に仕事をする職員の視点がなければ、利害関係だけで事業が整理されてしまう懸念がある。

 構想日本は、長野など7県と神奈川県三浦市の協力を得て、予算書をもとに仕事の中身を点検した。職員延べ300人が参加。合宿しながら、今の仕事が本当に必要か、国や他の自治体へ移すべき仕事はないかを検証し、国から補助金などでコントロールされている事業もリストアップした。

 例えば「自主的に内容を決められない事業」を挙げる場合、土木や農林水産など分野分けし、道路改良事業など細かく具体的に検討していく。

 一律の基準は設けず、「職員の感覚」にゆだねて話し合いながら作業を進めた。結果はこうだ。7つの県が手がけている事業のうち、自らやるべき仕事は53パーセントにすぎず、国が6パーセント、市町村が30パーセント、不要なものや民間に任せるべき仕事が11パーセントとなった。

 仕分けした内容をもとに新たな歳出を試算し、国と地方の制度設計を試みた。国のコントロールを原則やめ、補助金を全廃。今の交付税に代わる財政調整の仕組みをつくる。平成12年度の決算ベースで、国から地方への税源移譲額は「15兆円」とはじき出した。

 あくまで問題提起だと思ってほしいと冨永さんは説明しながら、こう釘を刺す。「三位一体の改革は、中途半端にやるのが一番いけない。地方の自立を考えるのなら、中央で議論を繰り返しても駄目です。地方の職員を巻き込み、具体的に話を進めるべきですね」

 20日にも、「骨太の方針」第3弾の原案に対して、岐阜など約10県の知事と連名で緊急提言を行う。地方への国の関与をなくすよう訴え、「改革に、自治体の声を取り入れるべき」と強く求めていく。


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