牧野地区、まして高岡市民全員が分離を求めているわけでなく、金田さんらの考え方は「地域エゴ」にも映りかねない。しかし、動機は別のところにもある。「行政にできないのなら、自分たちが動けばいい」
国の主導で進む「平成の大合併」。昭和の合併から半世紀たち、今の市町村のかたちに慣れきった住民に、大きな問いを投げ掛けた。市町村の境界は絶対ではなく、県のあり方、国と地方の関係も変え得るという事実を、合併や三位一体の改革論議があらためて突きつけている。
ただ、じっくり考える時間はあまりに少ない。特例法の期限にせかされるように合併論議は加速し、戸惑う住民は少なくない。金田さんには、合併が行政や議会を中心に進み、住民の理解が不十分だという思いがぬぐえない。
「境界を変えると住みやすくなるのか、逆に暮らしにくくなるのか。地域を考えるのは、自分たちなんです。将来を見据え、子どもたちが一番住みよいまちにしたい」
まず住民に、これまでの経過や分離の方法など情報を提供し、意見がまとまれば、次のステップとなる「住民投票」へとつないでいくつもりだ。
地方自治は、国がお膳立てするものではない。地域に暮らす1人ひとりがそのあり方を考え、担う必要がある。合併や分離で境界が変わったとしても、まちの景色や住む人の顔ぶれは同じだ。自治を担う意識が住民になければ何も変わらない。そんな当たり前の事実を、金田さんたちは再確認しようとしている。
|