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町・村 名前は残るかー合併・とやまの課題 連載目次 前へ

5. 射水市 2003.11.12

 小杉町下条の国道472号に近い一角に、昨年3月に閉校した橋下条小学校の跡地がある。学校と隣接していた公民館の移転新築工事が行われている。

 公民館は、屋根の造りなどに旧校舎の面影を取り入れて設計されている。「かつての橋下条村の名前を残すシンボル的な存在の小学校には、住民の愛着が深かった」と、九谷田利之下条自治会長(76)は話す。

 橋下条村は昭和17年に小杉町と合併。地区の字名は現在では「下条」と変わったが、学校のほか消防団、農協支店などに「橋下条」の呼び名は受け継がれてきた。

消えた地名復活も 重複ない地域でも見直し

 小学校はなくなったが「橋下条」は最近、再び脚光を浴びつつある。大門町下条との調整が必要となったからだ。自治会では字名を「橋下条」に変更する方向で、地区内の話し合いを進めている。九谷田会長は「世帯数はこちらの方が多いが、『橋下条』は耳になじんだ名で、住民に違和感は少ない。昭和の合併で1度は消えた名前が平成の合併で復活することになるかもしれない」と、巡り合わせに感慨深げだ。

 新湊市と射水郡4町村の合併協は、9月に新市の名称を「射水市」と決定。5市町村内で同じ町名、字名を持つ17カ所について、住民の意向を聴いて調整案をまとめる方針で、対象となる地区では自治会などによる協議が続いている。

 小杉町白石との調整が必要な下村白石では9月、18歳以上を対象に住民アンケートを実施。「射水市白石」「射水市下白石」「新たな名称」の選択肢のうち「射水市白石」を望む回答が56.9パーセントを占めた。小杉町側の意見集約はこれからだ。

旧橋下条小跡地で建設が進む橋下条公民館
旧橋下条小跡地で建設が進む橋下条公民館。地元での「橋下条」という名前への思い入れは強い=小杉町下条

 隣接する両集落では古くから、新堀川をほぼ境に下村側を「大白石」、小杉町側を「小白石」と呼んできた。下村白石区長の岩木和雄さん(76)は「調整の行方次第では『大白石』も選択肢となる可能性がある」と話す。

 地名が重複しない地域でも、合併の余波で見直す動きがある。下村小杉では「射水市小杉では不都合」との声があり、古い地名の「倉垣小杉」とする案が検討されている。

 各地区の思いをまとめた調整案は、早ければ12月の合併協で審議される。

 県内の市町村数は、明治22年の市町村制施行に伴う「明治の大合併」によって、それまでの2,721町村が約10分の1の271市町村になった。その後の小規模な合併を経て昭和28年の町村合併促進法による「昭和の大合併」で同31年に53、同36年には40に減った。同40年に「市町村の合併の特例に関する法律」が施行。水橋町の富山市への編入合併(41年5月)により、現在の35市町村となった。現在、「富山市水橋」という地名はなく、編入前の字名の前に「水橋」と付く形で残っている。

 合併のたびに変遷してきた地名。住民の思いが込められている名前の取り扱いは、平成の合併でも大きな課題となっている。

おわり

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