ノーベル化学賞に田中氏(富山市出身) 目次へ >>ホームへ
田中さん、研究所長に 「フェロー」職へ4階級特進 2002.10.16
 ノーベル化学賞受賞が決まった田中耕一さん(43)=富山市新川原町出身=は15日、勤務先の島津製作所本社(京都市)で受賞後初めて矢嶋英敏社長と対面した。田中さんの役職について矢嶋社長は「課長や部長、理事の上で、研究に専念できる『フェロー』に就く」とし、受賞報奨金1,000万円を贈ることも発表した。田中さんは現在主任で、同社で一気に4階級特進するのは初めて。矢嶋社長は仕事がしやすい環境づくりを最優先に考え、田中さんを所長とする「田中ノーベル賞記念研究所(仮称)」を年内にも本社内に置く考えを示した。

 矢嶋社長は同日朝、役員と田中さんの今後について協議した。田中さんが受賞直後から「出世や待遇などは考えず、今の研究を続けたい」と希望していることから、矢嶋社長は「着実に研究結果が出るよう、役職はフェローとした」と、研究者としての立場を最優先した処遇を決断した。

 研究フェローシップは昨年4月に制度化。フェローは階級では執行役員と同じだが、直接経営には携わらず、研究に専念できるポストという。同社では2人目。執行役員と同じ待遇だが「いきなりでは責任が重すぎる」と田中さんから申し出があり、給与を含む待遇については未定。矢嶋社長に一任する。

 受賞報奨金について「社長特別賞は最高100万円だが、今回はその10倍にしたい」と言明。初めて聞かされたという田中さんは天を仰ぎ、額の大きさに驚いた様子。戸惑いながらも「責任が重すぎるが、フェローは自由に研究できると聞く。何らかの形で人の健康に役立つよう、幅広く(新研究所の)利点を生かしたい」と抱負を述べた。
矢嶋社長(左)とともに会見し、今後の研究について語る田中さん=京都市の島津製作所本社

「失敗は成功のもと」 日本生化学会で特別講演 2002.10.16
 失敗は成功のもと−。京都市内で開かれた日本生化学学会で受賞後初めて特別講演した田中耕一さんは、受賞対象となったタンパク質の質量分析技術開発にまつわる裏話をユーモアを交えて披露した。一躍「時の人」となった化学者の研究発表を間近で聴こうと、定員を大きく超える千人以上が熱心に耳を傾けた。

 学会員の大学教授や医薬品、医療機器メーカーなどから約700人が参加した。一般向けにも300枚の整理券を用意して対応したが、追いつかず、会場は立ち見が出るほどの盛況。田中さんは大きな拍手で迎えられた。

 テーマは自ら開発した「マトリックス支援レーザ脱離イオン化方法」。これまで不可能とされた技術の成功の裏には「数々の幸運な失敗があった」と独特の表現で紹介。「失敗は成功のもとなので、失敗を大切にしてほしい」と話した。

 最後に、一緒に研究してきた同僚や大学教授の名前を挙げ「みなさんに巡り合えて幸運だった」と締めくくった。

東北大が名誉博士号授与へ 2002.10.16
 東北大学は15日、田中耕一さんに名誉博士号を授与すると発表した。授与式は今月31日、東京都千代田区の経団連会館で行われる。


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