ノーベル化学賞に田中氏(富山市出身) 目次へ ホームへ
田中さんに名誉博士号 母校の東北大 2002.11.01
 ノーベル化学賞を受賞する島津製作所の田中耕一さん(43)=富山市新川原町出身=に、母校の東北大学が31日、名誉博士号を授与した。「教育研究上、多大な功績があった」との理由で、学士の研究者、田中さんも博士の仲間入りを果たした。授与式は東京・大手町の経団連会館で行われた。

 これに先立ち、東京・有楽町の日本外国特派員協会で、同じく物理学賞を受賞する小柴昌俊東大名誉教授(76)とともに会見。英語が苦手として通訳もついたが、約200人のメディア関係者を前に、流ちょうな英語で熱弁を振るった。「共同研究のチームや、技術を改良した人がいなければ受賞はなかった」と謙虚に語る一方、田中フィーバーについては、「独身だったら―」と冗談で答え、会場を沸かせた。
東北大の名誉博士号を授与された田中さん
東北大の名誉博士号を授与された田中さん(中央)。右は遠山文部科学相、左は阿部東北大学長=東京・大手町の経団連会館

ドクターでなく「今後もミスターで」 2002.11.01
 ノーベル化学賞を受賞する田中耕一さんが、母校の東北大から「教育研究上、多大な功績があった」として名誉博士号を授与された。授与式は31日、同大主催の講演会の懇親会とノーベル賞受賞祝賀会を兼ね、都内で行われた。

 田中さんは、阿部博之学長から名誉博士号の証書を渡され「実学をすぐにやりたかったのと、ドイツ語の試験を受けるのが嫌で大学院に行かなかった。苦労せず博士号をもらえてうれしい」と独特のユーモアを交えてあいさつした。

 遠山文部科学相もお祝いに駆けつけた。「ドクターですね」と声が掛かると、「エンジニアとして、職人のように働いてきた。今の仕事を続けたいので、今後もドクターではなく、ミスターで通させてください」と控えめに学位を喜んだ。ただ「以前、航空機のチケットにドクターと表記されたことで、ビジネスクラスに乗れたことがあった。飛行機に乗るときはドクターで…」と会場の笑いを誘った。

 東北大の名誉博士号は創設6年で、田中さんが3人目。

 田中さんは昭和58年に東北大工学部電気工学科を卒業し、島津製作所に入社。今後、東北大と京都大の客員教授になることが決まっている。

「失敗も数々」会場沸かす 特派員協会会見 2002.11.01
 ノーベル化学賞受賞が決まった島津製作所フェロー、田中耕一さん(43)=富山市新川原町出身=は31日、同じく物理学賞の小柴昌俊東大名誉教授(76)とそろって、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。1年に2人という日本人初の「ダブル受賞」に海外メディアも注目し、日本の教育現場や企業風土を尋ねる質問が飛び交った。会見はすべて英語で行われたが、「苦手」と謙そんしていた田中さんも英語で熱弁を振るい、「ノーベル賞は目的ではなく、研究を追い続けた結果にすぎない」と語った。

 会見には外国の新聞記者やジャーナリストなど約200人が詰め掛けた。小柴名誉教授は「田中さんをどう思うか」と聞かれ「私の息子の一つ下でとにかく若い。受賞が若者や企業研究者を勇気づけたことがうれしい」とたたえた。

 田中さんには通訳がついたが、大部分を身振り手振りを用いながら英語で答えた。研究者の評価方法について「日本は減点主義だが、欧米は加点主義。どんな成果を挙げたかで評価すべき。自分は数えられないほど失敗したが…」と会場を沸かせた。

 日本人の理数離れを指摘されると「小学校では答えを求めるのではなく、好奇心を持つことが大切」ときっぱり。小柴名誉教授は「科学の時代と言われるが、子どもが真実を真実と見極めるのは難しい。逆に、大変だからこそ(大発見の)チャンスもあるかもしれない」と提言した。

 政府が掲げる「50年で30人の受賞者」構想で、その可能性を聞かれた田中さんは「(自分の場合)ノーベル賞は目的ではなく、結果的に与えられたにすぎない。新発見をしたいと努力し、研究を追求する姿勢が求められる」と熱っぽく語ると、外国人記者らから賞賛にも似た声が漏れた。質問は経済、文化、軍事など多岐にわたった。
「田中ファンが増えている」と聞き、思わず頭を抱える田中さん
記者から「田中ファンが増えている」と聞き、思わず頭を抱える田中さん(左)。隣は小柴東大名誉教授=東京・有楽町の日本外国特派員協会

富山市が田中記念賞創設へ 児童・生徒の科学研究対象に 2002.11.01
 富山市は、同市出身の田中耕一さんがノーベル化学賞を受けることを記念し、児童・生徒の科学研究を対象にした賞の新設を検討する。森市長が31日の定例記者会見で「市教委で構想を練っている」と述べた。

 同市は田中さんの受賞決定を受け、市で最高の「名誉市民」を贈ることを決め、市科学文化センターでは物理学賞を受ける小柴昌俊東京大名誉教授と合わせて業績をパネル展示している。

 さらに、同センターで県内小中高校生を対象に毎年開かれている県科学展覧会と同様に、来年度にも児童・生徒の研究を表彰する賞の新設を検討。市教委は「田中さんの特長である粘り強さやユニークな発想を基準にしたい。本人の承諾を受けた上で、ジャンルなどを考える」としている。

 市長はこのほか、平成17年度までの市総合計画第1期基本計画に基づく同センターの展示替えに合わせ、常設展示に田中さんの顕彰コーナーを設ける考えも示した。

 名誉市民については田中さんの内諾を受けており、今月中に名誉市民推薦委員会を組織、12月10日の受賞を待って推薦委に諮問し、12月定例市議会に追加提案する。授与の日程は未定。


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